フジツボはエビ・カニの仲間
フジツボは、固い殻に覆われているため、しばしば貝類と勘違いされますが、実は、甲殻類に属するエビやカニの仲間です。水面下で殻の中から伸ばす、蔓脚と呼ばれる触手が、エビ・カニの足に相当します。フジツボは、蔓脚を伸ばし、流れてくるプランクトン等を掴み取るようにして食べます。殻の位置を動かすことはできませんが、流れに合わせて蔓脚の向きをくるくると変え、効率よく餌を食べることができます。
フジツボの一生
生まれたばかりのフジツボは、固い殻を持っていません。甲殻類に共通するノープリウス幼生として、海の中を泳ぎ回る浮遊生活を送ります。この間に、植物プランクトンを食べ、栄養素をたくさん蓄えた後に、フジツボ独特のキプリスと呼ばれる幼生に変態します。キプリス幼生には、口がなく、ノープリウス幼生時代に体内に蓄えた油球と呼ばれる「お弁当」をエネルギーに、2本の触角でペタペタと歩きながら、その後の一生を過ごす着生場所を決め、そこで脱皮してフジツボになります。
フジツボは雌雄同体ですが、他の個体と交尾をします。動くことができないフジツボが編み出した技が、動物界で最長とも噂される、最大で自分の体の8倍まで伸びる生殖器です。この長い生殖器を駆使して、たまたま自分の近くに付着した別の個体と運命的な交尾をします。親となったフジツボは受精した卵をしばらく殻の中で保持し、そして、かえったノープリウス幼生が親に別れを告げて、新たな付着場所を求めて海の中を泳ぎまわるのです。